日本応用動物昆虫学会誌
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阿蘇火山の森林生態系におけるリン,窒素,カリウム,カルシウム,マグネシウム,ナトリウムとBHCの分布と移動
鷲塚 靖山岡 正佳鈴木 竜矢
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1987 年 31 巻 3 号 p. 240-246

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抄録
阿蘇山のミヤマキリシマ群落(第1地点),ミヤマキリシマ,アセビ群落(第2地点),スギ単純林とクロマツ,ヒノキ,スギ,アセビ,ノリウツギ混交林(第3地点)で,P, N, K, Ca, Mg, NaとBHCの分布を調査した。検体は,L, F, H層,植物,ミミズ類,昆虫類,ネズミ類などであった。そのおもな結果はつぎのとおりである。
1) 第3地点のF層と第2,第3地点のH層に含まれる6元素の順位はCa>Mg>Na>K>N>Pであった。
2) 草本類のそれらの順位はK>N>Ca>Mg>Na>Pの順であり,樹木類のそれは,N>Ca>K>Mg>Na>Pであった。
3) 昆虫類のそれは,N>K>P>Na>Mg=Caであった。
4) ミミズ類のそれは,N>Ca>K>Na>Mg>Pで,アカネズミでは,N>K>Ca=P>Na>Mgの順であった。
5) 草本類におけるN, P, Mgの含量は,火口に近づくにしたがって高くなった。
6) Ca, Naの移動と分布は,食物連鎖による移動と考えられ,前者が緑色植物,後者が食植性昆虫までその含量が減少し,その後の移動でこれらは増加した。
7) BHCは,L層が最も高く,ついでF層,H層の順になり,樹木類に含まれるそれは,火口に近づくにしたがって,その含量が減少した。
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