日本応用動物昆虫学会誌
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カイコガ除脳蛹の発育におよぼすイミダゾール化合物投与の影響
普後 一黄色 俊一
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1988 年 32 巻 4 号 p. 283-290

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抄録

カイコガ除脳蛹の発育におよぼすイミダゾール化合物投与の影響について実験を行い,以下の結果を得た。
1) 正常なカイコガの化蛹直後にKK-42あるいはKK-62を投与すると,成虫化は遅れ,とくにKK-42の投与は成虫化を約3倍遅らせた。また,KK-42処理蛹の卵巣発育は未熟であった。
2) 化蛹直後除脳した蛹にKK-42あるいはKK-62を投与したところ,ほとんどの蛹は永続蛹となった。また,イミダゾール化合物は塗布するよりも注射したほうが効果が高かった。
3) KK-42を除脳蛹に25μg以上与えると,その個体は永続蛹となった。また,KK-42を注射後遅くとも5日以内に除脳すれば成虫化は完全に阻止されることが判明した。
4) KK-42処理除脳蛹は外的20-HEに対して常に反応し成虫化した。しかし,KK-42処理除脳蛹のPTTHに対する反応性は処理後6日目以降から認められるが,それ以前の投与は無効であった。
これらの結果から,イミダゾール化合物処理除脳蛹は,PTTHの生物検定用蛹として供試できることが示唆された。

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