日本応用動物昆虫学会誌
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キボシマルトビムシの食性,とくにテンサイ害虫としての重要度について
本間 健平
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1988 年 32 巻 4 号 p. 305-309

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抄録

1) キボシマルトビムシ(Bourletiella hortensis FITCH)の食性をテンサイ7品種と他の植物12種に対する摂食試験および顕微鏡による消化管の観察によって検討した。
2) 本種はキウリの子葉には多数の食痕をつけ,コマツナ,ハツカダイコン,スカシタゴボウ,ハコベはわずかに食害したが,テンサイの稚苗はほとんど食害せず,ホウレンソウ,ニンジン,シュンギク,レッドクローバ,タニソバはまったく摂食しなかった。
3) 消化管の観察の結果,本種の食物の範囲はかなり広く,顕花植物の稚苗の他に,花粉,菌糸,菌の胞子,蘚類などを含むことが判明した。
4) 以上の結果から,本種はウリ類やアブラナ科野菜の害虫になる可能性はある。しかしテンサイに対しては,他の害虫による食痕を拡大するような二次的な加害を除いては,健全な組織を積極的に食害する可能性は少ないのではないかと考察した。

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