日本応用動物昆虫学会誌
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ミナミキイロアザミウマによるキクの被害の品種間差異に関する研究
3. 寄生部位および密度と被害との関係
宮下 武則祖一 範夫
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1993 年 37 巻 4 号 p. 227-233

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抄録

1) ガラス温室に栽培されている被害の出やすさの異なる秋ギク5品種を対象に,ミナミキイロアザミウマの寄生虫数と被害程度の推移を葉位別に調査し,キクの被害の品種間差異が本種の寄生虫数や寄生部位の違いによるものかどうかを検討した。
2) 寄生虫数については,成虫,幼虫とも品種間差異は小さく,被害の出やすさとの関係はないと考えられた。
3) 寄生部位についても,成虫,幼虫とも品種間差異は認められず,被害の品種間差異には影響していないと考えられた。
4) 本種成虫は,キクの茎の先端に未展開葉が存在する場合はその付近に集中して摂食および産卵活動をする。しかし,花蕾の分化に伴い未展開葉が消失すると成虫は分散する。
5) 幼虫は上から10枚目付近の展開葉の裏面に多くみられる。この傾向は,卵は生長点付近の未展開葉に産み込まれ,ふ化した幼虫が活動する時期には産卵された葉の葉位が下がり10枚目付近に達すること,幼虫はふ化した葉に留まって発育する性質が強いことを示している。

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