2007 年 11 巻 1 号 p. 78-86
本研究の目的は,高齢者介護に必要な情報提供のあり方を検討することである.介護保険の要介護認定を受けている65歳以上の高齢者を介護する家族2,325人を対象に,質問紙調査を行った.介護に必要な情報の入手経路を検討し,情報充足感に関連する要因を要介護者の身体障害度と認知症度の違いによる4群間で比較した.
その結果,要介護者の身体障害度が軽度の場合,認知症度が軽渡であれば,介護に必要な情報の充足感は介護者の年齢や仕事の有無,友人などとの連絡頻度,うつの傾向などと関連していた.障害度や認知症度が重度であると,介護に必要な情報の充足感に関連する介護者要因には違いがあった.
介護に必要な情報は,要介護者と介護者両者の要因に合わせて提供される必要がある.