本研究は,在宅療養者の多くが罹患している白癬に着目し, 半年間の治療とフットケアが介護予防等に有効かを介入研究にて検証した.対象者99 人(対照群49 人, 介入群50 人)に調査を行った結果,介入群50 人の白癬陽性者数が,「足爪」では79.5%から54.5%(p = 0.022),「足皮膚」では100.0%から31.6%(p <0.001)と減少した. また,「介護度」は, 対照群は介護認定区分で重度が増加したが(p = 0.008),介入群は介護度に有意な変化はみられなかった(p = 0.705).「足の痛み」は,対照群に有意な変化はなかったが(p =0.285),介入群は足の痛みを感じるものが減少した(p = 0.003).「足の清潔満足度」は,対照群に有意な変化はなかったが(p = 0.260),介入群は足の清潔に満足している者が増加した(p < 0.001).
今後,在宅療養者の白癬罹患や未治療・治療放置が増加することを勘案すると,白癬治療やフットケアが介護予防に寄与するかといった調査デザインの洗練に加え,訪問看護師がフットケア技術を確実に習得し実施できる体制整備を図る必要性が示唆された.