本研究は,訪問看護を利用している在宅高齢者のQOL に影響を及ぼす要因について明らかにすることを目的とした.対象は65 歳以上で認知障害がなく会話可能な在宅療養者であった.方法は対象者108 人に対して,研究者が居宅に出向き聞き取り調査を実施した.内容は属性,医療処置,QOL,葛藤,うつ等であり,分析はt 検定およびパス解析等を用いた.分析の結果,高齢者のQOL は医療処置(在宅酸素,褥瘡等)のある高齢者のほうが,医療処置のない高齢者よりも有意に低い結果であった(t(90)= -2.15, p < .05).パス解析では,訪問看護を利用している在宅高齢者のQOL に影響を及ぼす直接要因は葛藤とうつであり,間接要因は年齢,医療処置,転倒,ADL,IADL,自己効力感,友人交流,家族交流であることが明らかになった.