2023 年 27 巻 1 号 p. 93-101
目的:訪問看護師が家族の予期悲嘆支援に対してどのような認識を持ち,その認識にどのような因子が関連しているかについて,質問紙による全国調査で実態を明らかにする.
方法:常勤の訪問看護師1,400名に自記式質問紙調査を行い,基本属性,スピリチュアリティ,予期悲嘆支援に対する認識の質問を聞いた.
結果:422が返送(回収率30.1%)され420を分析した.予期悲嘆支援について20項目の回答から探索的因子分析で5因子を抽出し,【暗黙の空気感に委ねる関わり】と【予期悲嘆を意識的に確認する必要性】という認識があり,後者が多数であった.この5因子にて共分散構造分析によるモデル図を作成し適合度を確認した(GFI .95,AGFI .94, RMSEA .04).
結語:訪問看護師は,予期悲嘆を意識的に確認することにより家族と共にする経験に対して価値を高め,死生観の変化につながることが示唆された.