1999 年 3 巻 1 号 p. 68-77
目的:24時間在宅ケアを提供してきた先進的な訪問看護ステーションの実績から,日中だけでなく,準夜・深夜・早朝にも看護職が訪問して行うケアの特質を明らかにする.
方法:対象は,24時間3交代制で訪問看護を行っている1つの町立訪問看護ステーションの,開設時1995年12月から1997年8月末までの小児を除く全利用者である.ケアプランを含む記録類から利用者の実態を把握し,全国統計と比較した.また,ケアの提供項目を時間帯別,提供者別(看護婦とヘルパー)に記述した.
結果および考察:1)89人の利用者は,全国の訪問看護ステーション利用者に比して,①年齢が高く,②寝たきりや悪性新生物の罹患者が多く,より重度であることが示された.2)時間帯別看護・介護の提供内容の分析から,看護婦が夜間・早朝に計画的に訪問することで,速やかにケアの提供時間帯を変更することができること,看護婦による対応ができること,医療処置は看護婦が行っていることが示された.3)全利用者のうち夜間・早朝の訪問を受けているのは約13%であり,体制が整えばこの程度の利用者があると推測された.4)死亡35人中在宅死亡の割合が21人(60.0%)と多かった.
結論:在宅ケアにおいて看護職が日中のみならず準夜・深夜・早朝も訪問看護を行うことによって,医療処置の提供,在宅ターミナルおよび病態悪化時の速やかな対応ができ,支えられる在宅療養者を拡大していけることが示された.