日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
原著
大都市高齢者の手段的ソーシャルサポートに対する選好度:選好度の構造および選好度と基本属性との関連
権 泫珠岡田 進一白澤 政和
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2003 年 6 巻 3 号 p. 29-35

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抄録

本研究では,大都市高齢者の手段的ソーシャルサポートに対する選好度の構造および基本属性との関連を分析した.大阪市内の在宅高齢者2,000名を無作為に抽出して自記式の郵送調査を行い,56.5%(1,129票)の有効回収率を得た.分析の結果,家族やフォーマル資源への選好度が高く,家族以外のインフォーマル資源への選好度は低かった.サポート選好度の構造は,「フォーマル資源」,「家族」,「家族以外のインフォーマル資源」へ分類された.なお,ボランティアはフォーマル資源と同じ因子に所属し,注目された.基本属性との関連では,一人暮らしや暮らし向きが低い高齢者のほうでフォーマル資源への選好度が高く,子どもと同居している高齢者や暮らし向きが良好な高齢者は家族への選好度が高くなる傾向がみられた.研究の結果,サポート源に対する認識において高齢者と社会福祉の援助者とでは認識の違いがある可能性が示唆された.また,高齢者個人の特性やサポートに対する認識をよく理解した上で,サポートすることの重要性が示された.

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© 2003 一般社団法人日本在宅ケア学会
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