2015 年 10 巻 1 号 p. 90-99
本研究では、北海道A市の公立小学校及び中学校に勤務する養護教諭を対象に無記名による自記式質問紙調査を行い、健康相談・健康相談活動の実態を把握し、校種や経験年数、講義及び研修受講の有無と比較して課題を検討することを目的とした。その結果、以下のような知見を得たので報告する。
1.保健室来室児童生徒に対する対応は、校種や経験年数、講義及び研修受講の有無による差がほとんどみられず、タッチングや救急処置を行いながら話を聴いたり話し掛けるなど、養護教諭の専門性を生かして行われていた。
2.支援協力者との連携は、経験年数によって差がみられ、経験年数が多い者の方が実施している傾向にあった。
3.支援協力者との連携のうち、専門機関への紹介後のフォローアップについては、研修を受けている者の方が実施していた。
これらのことから、健康相談・健康相談活動は、保健室来室児童生徒に対する対応においては養護教諭の専門性を生かして概ね実施されていることが明らかになった。しかし、支援協力者との連携においては、経験年数を補う研修の必要性及び健康相談・健康相談活動に特化した研修の必要性が課題として捉えられた。