本研究は、高校生を対象としてハンドマッサージを行う場合の効果検証を行うに当たり、使用する素材の違いにより効果に違いが生じるのではないかという仮説を立て、その検証を行うことを目的とする。2020年7月、A県B高等学校にてハンドマッサージの学びを希望する生徒を募り、2020年8月、希望した1・2年生28名に対し、精油入りマッサージオイルを用いた(以下介入群とする)とハンドクリームを用いた(以下対照群とする)に分かれてハンドマッサージの演習を行った。そしてまず、演習前後の皮膚の保湿度や皮膚表面温度の変化をIBM SPSS Statistics Ver. 28. 01. 1 (15)を用い対応のある検定にて分析した。次に、演習後の感想 (自由回答欄の記述) をテキストマイ ニング (KH-Coder Ver. 3.00) にて分析した。
その結果、介入群は、演習前後の皮膚の保湿度や皮膚表面温度の上昇が対照群より顕著に見られ、有意差が確認された。自由回答欄の階層的クラスター分析では、介入群は、心や身体の変化など実体験した効果を示す5つのクラスターが構成された。また、共起ネットワークでも身体面・心理面などの効果を実感する関係が形成された。一方、対照群には、演習前後の皮膚の保湿度の上昇は見られたが、皮膚表面温度の上昇の有意差は認められず、自由回答欄の階層的クラスター分析や共起ネットワークでも、講義で聞いた知識を示す関係性は見られたが、効果を実感する関係は見られなかった。ハンドマッサージにおいて、精油を配合したマッサージオイルの使用が有効であることが示唆された。
今回の研究で得られた知見を、香りの弊害を考慮した上で、高校生のセルフストレスマネジメントに役立てる研究を進めていきたい。
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