日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
論文
発達障害のある子どもの支援体制づくりにかかわる養護活動の検討
難波 知子
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2010 年 5 巻 1 号 p. 77-87

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抄録

 本研究の目的は、健康相談活動における「関係者との連携」に着目して、発達障害のある子どもの支援体制づくりにかかわる養護活動を検討し、その活動内容を明らかにすることである。研究対象者は、小学校に勤務する発達障害、慢性疾患などのある子どもに対する支援経験が豊富な熟練の養護教諭一名である。半構成的面接法による調査を行って8事例のデータを収集した。データ分析は、質的記述的方法を用いた。その結果、発達障害のある子どもの支援体制づくりにかかわる養護教諭の活動内容として、【相談窓口となる】【情報を収集する】【関係者同士の協力関係をつくる】【養護教諭と関係者の情報・行動を連携させる】【専門機関とのつながりをつくる】【ケース会を企画調整する】の6つのカテゴリが導かれた。養護教諭は【相談窓口となる】ことで、発達障害の子どもと共に歩む保護者や担任の思いを受け止め、いつでも・どこでも・だれとでもかかわることのできる養護教諭の特質を活かして【情報を収集する】活動を行い、発達障害の発見に寄与するスクリーニングの機能を果たしていた。また、【関係者同士の協力関係をつくる】【養護教諭と関係者の情報・行動を連携させる】【専門機関とのつながりをつくる】【ケース会を企画調整する】ことを通して、複数の関係者や関係機関の支援をコーディネートする役割を担い、支援体制を整える活動にかかわっていることが示唆された。

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© 2010 日本健康相談活動学会
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