2011 年 6 巻 1 号 p. 89-106
本研究の目的は、自傷行為を繰り返し自殺企図のある生徒に対して行った学校生活適応プログラムの実践結果から、学校における支援体制や養護教諭の役割について検討するものである。研究対象者は高校1年生の女子生徒A子であり、研究対象校は、都市部にあるB高等学校である。学校生活適応プログラムは、認知行動療法を活用したプログラムであり、精神的な課題を抱える生徒の感情を安定させ衝動的な行動を抑え、学校生活に適応させることをねらいとしている。学校生活適応プログラムの評価は、研究対象者が学校に適応していくまでの1年間の過程を分析した結果より行った。
研究の結果、自傷行為を繰り返し自殺企図がある生徒に対して、他の専門機関と連携して支援チームをつくり学校生活適応プログラムに沿った支援を行うことや、養護教諭が支援チームをコーディネイトし保健室の機能を生かした健康相談活動を充実させることなどが、学校生活に適応させることに有効である可能性が示された。