HIV感染者は,全員受診継続が不可欠である. 本研究は, HIV感染者の受診継続を支援するシステムの構築に資することを目的に, HIV感染者369名の診療録調査から,受診継続を促進する要因を検討した. 分析対象者325名のうち,初診から3年後の受診状況は,受診継続者 (継続群) が292名 (89.8%),最終受診から1年以上未受診者 (非継続群) が33名 (10.2%)であった. 非継続群は継続群に比べ,「初診時平均CD4数」が高く,初診から1年以内に「抗HIV療法導入」,「ニューモシスチス肺炎予防治療」,「入院治療」,「身体障害者手帳申請」が少なかった.通院患者54名へのアンケート調査では,受診継続する理由を大別すると,「自覚症状と現在の治療」,「病気の進行の不安と専門医療及び療養生活支援」に分類された. 受診継続の促進には,療養環境整備が重要である.