日本家庭科教育学会誌
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キャリアと生活の設計教育の意義(第2報) : 生徒と教師の視点から
上野 顕子
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2007 年 49 巻 4 号 p. 290-301

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抄録

第1報で示した解釈学に基づく解釈的調査の構築とその手順に従い,第2報は,生徒と教師の視点から,収集したデータの解釈を行った。データ収集は,カナダ,アルバータ州の高校必修科目となっているキャリアと生活経営(カーム)の授業観察と,ワークブックやプリントなどの教材の資料収集,及び9人の生徒と2人の教師との対話により行われた。以下がこの研究により明らかにされた点である。1.何人かの生徒は,キャリア設計についてはよく語れるにもかかわらず,個人の生活設計があいまいであった。この間題に対し,一人のトニーという生徒からの,生活設計に関してもっと多くのディスカッションの時間を持ち,意見交換を行うという提案が他の生徒や教師の賛同を得ることになった。2.生徒たちは,カームは彼らの生活を助けてくれるもの,教師たちは,自己の成長や,自分自身の生活についての学習をもたらすものと捉えていた。3.こうした結果から,カームにおけるキャリアと生活の設計教育の意義を,次のようなことが達成できる機会と捉えた。(1)生徒によりよい生活の追及を動機付ける。(2)生徒の自己実現つまり個人の生活やキャリアでなりたい自分になることを支援する。(3)生徒にキャリアと生活の設計教育の意義を認識させる。

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© 2007 日本家庭科教育学会
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