日本家庭科教育学会誌
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高等学校教諭普通免許状「家庭」の授与に指定されている科目・内容に対する教員の意識
鈴木 洋子永田 智子赤松 純子榊原 典子中井 昌子野田 文子矢野 由起
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2009 年 52 巻 2 号 p. 130-135

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抄録

教育職員免許法上の指定科目と現行の学習指導内容及び教員養成上の必修科目が一致していることは必須であるが,教育職員免許法施行規則に設定されている家庭科に関する専門科目は,教科に求められている時代の要請に比べ,大幅な変革がなされていない。そこで,教育職員免許法施行規則に示された「教科に関する科目」と現行家庭科の学習指導内容の整合性を確認し,問題点の究明と改善の方策を探る際の示唆を得ることを目的に,高等学校教員の現行教育職員免許法施行規則に指定の「家庭」の教科に関する科目に対する意識を調査した結果,以下のことが明らかになった。・高等学校普通科における普通教科「家庭」の履修科目は,「家庭基礎」57%,「家庭総合」14%,であった。専門科目「家庭」の中の科目については「フードデザイン」と「発達と保育」の履修が多かった。・高等学校教諭普通免許状「家庭」の授与に指定されている科目・内容のうち,必要性が高かったのは食領域の「調理実習」「栄養学」「食物学」「食品学」と「保育学」であった。必要性が低かった科目・内容は「家庭電気・機械」「製図」「情報処理」「家庭看護」「家庭経営学」であった。不必要とされる理由に「他の教科で学習したほうがよい」「家庭総合・家庭基礎にない」の回答が多かった。「家庭電気・機械」「製図」「情報処理」は,中学校においては技術科の内容であることを考慮し,削除も含めて今後検討する必要があるのではないかと考える。・教育職員免許状では必要な科目・内容として指定されてはいないが,高等学校で家庭科を指導する上で教員養成上必要と思われる科目・内容に,「消費生活」「福祉」「環境と資源」「高齢社会」の回答が多かった。低かったのは「キャリア教育」,「ジェンダー」,「生活文化」,「少子化問題」であった。

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© 2009 日本家庭科教育学会
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