日本家庭科教育学会誌
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教育実習生の家庭科授業にみられる授業実践力の分析 : 調理実習における教授・学習行動に注目して
高木 幸子
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2011 年 53 巻 4 号 p. 238-246

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抄録

大学3年次生が教育実習で行った調理実習にみられる課題を明らかにすることを目的に,教授・学習行動に焦点をあてて4授業を分析した。結果は,以下のとおりである。1調理実習の4授業では,教授・学習行動の時間の割合が良く似ており,実習の内容にかかわらず授業の指導過程は共通するパターンをもっていると推察する。2調理実習の構想・運営に関して,教育実習生の授業から以下の4点を課題として抽出した。(1)授業構想の段階で生徒にとって効率のよい学習活動を具体的に組む力(2)活動にかかる時間の予測と活動が滞ったときに子どもの活動を推進する手立てを打つ力(3)説明する言葉の吟味(4)食材観察を行うための場面設定以上の課題は,教育実習生の調理実習の4授業に個別にみられた課題であるが,(1)〜(3)の課題は調理実習以外の授業を分析する中でも確認できる課題であった。とりわけ調理実習では,短時間の指示・説明が終わった後は,子どもたちが一斉に活動を始め,途中での指示や注意が通りにくくなることを考えると導入の説明は重要である。この結果を踏まえ,家庭科教員養成段階におけるプログラム内容を考えると,実践的・体験的な活動を組み込んだ授業を構想する機会や調理実習を想定した導入段階の指示・説明を考えるなど,学習の成立に関わる場面に焦点化した演習を行うなどの工夫が必要であると考える。

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