日本助産学会誌
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新型コロナウイルス感染症パンデミック時の岩手県内産科医療施設における感染症対策および妊産婦ケアの実態
佐藤 恵大谷 良子江守 陽子
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論文ID: JJAM-2021-0026

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抄録

目 的

新型コロナウイルス感染症パンデミック時の,2020年6~9月時点で行われていた岩手県における産科医療施設の感染症対策および妊産婦ケアの実態を明らかにする。

方 法

2020年6~9月の新型コロナウイルス感染症対策および妊産婦ケアについて,岩手県内の出産を取り扱う産科医療施設の看護管理者に質問紙調査を行った。

結 果

周産期母子医療センターおよび総合病院11施設,診療所6施設,計17施設を分析対象とした。新型コロナウイルス感染症の疑いのある妊産婦に対する基本方針を策定済みまたは検討中の施設は16施設あった。基本方針の内容は「発熱外来で対応する」「診療ブースや診療時間帯を分ける」等であった。また妊産婦ケアでは「集団指導は個別指導に移行」「面会禁止」「立ち会い出産の禁止」の反面,「丁寧な説明や精神的支援の強化」「ICTを活用し家族と出産の喜びが共有できるよう配慮」等の工夫に努めていた。一方で「実際にCOVID-19患者に直面したときに,正しくケアができるか不安」「個人防護具等感染対策のための物品不足に対する不安」等が挙げられた。看護者自身は「毎日の検温」や「県外外出の自粛」などを行っていた。

結 論

調査時点では,岩手県内の新型コロナウイルス感染症陽性者が確認され始めたばかりで,対象施設ではCOVID-19陽性妊婦未対応であったが,ほとんどの産科医療施設が感染症対応の方針を策定していた。妊産婦ケアとしては,集団指導を個別指導に変更,妊産婦が外界と遮断されることに対しては,ICTの活用,会話する時間を多くするなどの精神的支援の強化等により対応していた。また看護者は医療提供側の人員や衛生材料の不足に対し,負担を感じながらも対応することと代替で工夫し対応する一方で,COVID-19陽性妊産婦に直面した時,自分が果たして適切にケアできるか等の不安や緊張感が強かった。

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