日本助産学会誌
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良好な周産期結果を得た双胎妊婦における妊娠中の体重増加の後方視的分析;子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
高岡 智子小林 康江篠原 亮次堀内 清華久島 萌小田和 早苗横道 洋司三宅 邦夫小島 令嗣秋山 有佳大岡 忠生由井 秀樹山縣 然太朗子どもの健康と環境に関する全国調査研究グループ
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論文ID: JJAM-2022-0043

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抄録

目 的

本邦では日本人の双胎妊婦の体重増加量を定めたガイドラインがまだ提示されていない。本研究の目的は至適体重増加を決めるプロセスとして,周産期の結果が良好であった日本人双胎妊婦の妊娠中の体重増加量を妊娠時期別に記述することである。

方 法

本研究は2011年~2014年に日本で妊婦を募集したJapan Environment and Children's Study(JECS)のデータを用いた記述的研究である。JECSのデータから周産期の結果が良好であった双胎妊婦(児の出生体重,分娩週数,母体合併症の観点から定義)を抽出し,回帰曲線を用いて特定の妊娠週数における母体体重増加量を後方視的に推定した。各時期の体重増加の推定値を本邦の診療ガイドラインに引用されている米国Institute of Medicine: IOMの基準と比較した。

結 果

321名の双胎妊婦を分析した。周産期の結果が良好であった日本人双胎妊婦の妊娠36週の推定体重増加量の中央値は12.98 kg(四分位範囲: 9.89–16.07)で,分娩時の実際の体重増加は13.00 kg(10.00–16.23)であった。妊娠13週,26週,36週時点の推定体重増加量は,標準BMIの女性で1.08 kg(−0.57–2.38),8.22 kg(5.78–9.84),13.10 kg(10.18–16.15),BMIが低体重の女性で1.87 kg(0.05–2.78),9.40 kg(7.68–11.44),14.57 kg(12.47–18.08),BMIが肥満の女性で0.52 kg(−1.27–1.59),4.10 kg(2.35–7.01),8.58 kg(5.05–11.52)であった。観察された中央値の多くがIOM基準の下限値にも達していなかった。

結 論

IOM基準に基づく妊娠各時期の体重増加は日本人双胎妊婦には過剰である可能性がある。

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