日本助産学会誌
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院内助産・助産師外来の安全性と利用満足度に関する国内の文献検討
中村 早希増澤 祐子岡津 愛子山本 真実片岡 弥恵子
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論文ID: JJAM-2023-0050

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抄録

目 的

妊産褥婦の多様なニーズへの対応やケアの質向上,産科医不足・偏在に伴うタスク・シフト/シェア等を目的に,2008年頃より院内助産・助産師外来の体制整備と活用が推進されているが,院内助産・助産師外来の安全性や利用満足度を体系的にレビューした文献は少ない。そのため,院内助産・助産師外来のさらなる普及を目指し,国内における院内助産・助産師外来の安全性や利用満足度について文献検討を行った。

対象と方法

過去10年の院内助産・助産師外来の安全性や利用満足度に関する文献レビューを行った。医中誌Webで院内助産システム等をキーワードに検索し,院内助産の分娩アウトカムを含む安全性についての記述がある20件,院内助産・助産師外来を利用した妊産婦に対する質的調査・満足度調査を行った15件を分析対象とした。

結 果

院内助産の安全性については,院内助産群に比べ非院内助産群の方が医療介入率が高い傾向にあり(52.8% vs. 75.8%等),両群で新生児仮死や弛緩出血など臨床的意義のある分娩アウトカムに有意差は認められなかった。院内助産・助産師外来の利用満足度はいずれも80%超と高く,受診時に気持ちや時間のゆとりがもてることや助産師との信頼関係構築によって安心感が増すことがメリットとして挙げられていた。

結 論

院内助産群と医師管理群の分娩アウトカムに違いがあるとはいえず,院内助産・助産師外来いずれも利用満足度が高いことがわかった。今後は,院内助産・助産師外来を担う助産師の質や,利用者への周知方法についてもあわせて情報を集め,安全で満足度の高い院内助産・助産師外来普及のために必要な詳細な条件を検討していくことが課題であると考えられる。

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