2026 年 33 巻 4 号 p. 302-308
廃用により足関節背屈−30°の拘縮を呈した20代女性に対し、カーボン製三層式後方支柱付き短下肢装具(ENAPLE AFO)を18か月間使用した。Recovery Phase Systemに基づきCAT3から装具を選定し、補高調整やカテゴリー移行を行った結果、背屈角度は0°まで改善し、10 m歩行速度は0.30 m/sから1.25 m/sへと向上した。動作解析ではフォアフットロッカー機能の再構築と歩容の対称性改善を認め、患者は安定性向上と疲労軽減を実感し社会復帰が可能となった。ENAPLE AFOは歩行中の背屈誘導を反復的に生じさせ、軟部組織の粘弾性改善を促すことで関節可動域を拡大し得た。本症例では外科的介入を回避でき、保存的治療における「治療用装具」としての可能性が示された。