2022 年 78 巻 7 号 p. III_143-III_148
膜分離活性汚泥法には活性汚泥法と比べて多くの長所があるが,膜ファウリングが問題となる.本研究グループではこれまでに気泡径数百nmの気泡を含む水(ナノバブル水)を用いた膜の逆洗はMBRの膜ファウリング抑制に有効となりうることを見出しているが,逆洗条件の詳細な検討は行われていない.本研究ではMBRファウリング物質のモデル化合物として多用されるアルギン酸ナトリウムによりファウリングを発生させたセラミック平膜を用い,ナノバブル逆洗の洗浄効果が高くなるような洗浄方法を検討した. 本研究では筆者らが従来用いてきたナノバブル水による洗浄効果は小さかったが、より高濃度のナノバブル水を用いることで洗浄効率が上昇することが確認された. ナノバブル逆洗の洗浄効果が高くなる理由はナノバブル崩壊時に発生するラジカルの関与ではなく,ナノバブルがファウリング層の構造を弛緩させたことに伴う物理的洗浄の高効率化が主であると考えられた.