2005 年 13 巻 4 号 p. 17-33
「組織IQ」とは,組織機能の効率や知識創造の効果を数量化する手法である。組織IQは企業組織を一種の大きな情報システムと捉え,その組織対応のプロセスに「外部情報認識」「内部知識発信」「効果的意思決定機構」「組織フォーカス」「継続革新」の5原則が存在することを仮定している。そのフレ一ムワークを用いて,5原則間の因果関係に関わる仮説を検証した。用いたデータは2000年度に旧通商産業省が行なった日米国際競争力の比較プロジェクトのアンケート調査によるもので,日本のハイテク企業14社17事業部を対象に実施された。結果は(意思決定を除く)4原則の一連の因果関係を持ったモデルと,効果的な意思決定への部分パスを組み込んだモデルの有意性が示された。それによって①観測変数に基づく因子として組織IQの各原則の存在が確認されると共に,②5原則の間に情報系から資源系へと至る因果関係が検証された。すなわち資源を有効に活用するためには,情報感度や知識共有の向上が前提となる。また効率的な意思決定が実現されるためには,情報系原則のみならず資源系原則がうまく機能することが必要条件となることが示唆される。