2011 年 20 巻 1 号 p. 1-22
本研究は,公園緑地の接近性がオフィスビルの不動産価値に与える影響を明らかにすることを目的とし,収益価格の算定の基礎となるキャップ・レート及び賃料に着目して,空間的相互作用モデルを用いて考察を行った.その結果,規模が5 ha以上となる公園緑地への接近性は,有意水準1%で有意に推計され,キャップ・レートの形成要因として認められたこと,また,実際の取引事例においてwith–without分析を行った結果,10 bpから40 bpのスプレッドが確認されたこと,さらには,賃料においても,規模が5 ha以上となる公園緑地への接近性が,40 mから50 mの範囲において最大で3%から5%の賃料格差率を惹起させていること等が示された.