経営情報学会誌
Online ISSN : 2435-2209
Print ISSN : 0918-7324
研究ノート
ビジネスケースの形式的記述のためのシミュレーション結果の類型化手法
菊地 剛正 國上 真章高橋 大志鳥山 正博寺野 隆雄
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2020 年 29 巻 3 号 p. 199-214

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抄録

組織研究では,実在のビジネスケースと組織シミュレーションのログとを比較対照するアプローチがある.両者の実効性のある接地のため,個々のエージェントの行動の詳細な記録を指すミクロ・ログではなく,ミクロ・ログの類型を対象とした分析手法が提唱されている.しかし,当該手法は,分析者のモデルに関する知識が前提であり,あらかじめログの類型を設定する必要があるなど,改善の余地がある.そこで本稿では,組織シミュレーションのミクロ・ログ分析にクラスタリング手法を適用することで,以下の2点を拡張した方法論を提案する:a)分析者がシミュレーションログの類型を事前に設定する必要がないこと,b)シミュレーションログの分析粒度を変えうること.組織の外部環境認識に係る意思決定プロセスを表現するエージェント・モデルを構築し,ミクロ・ログの類型化を行うことで,提案手法の要件が満たされることを例示した.

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© 2020 一般社団法人 経営情報学会
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