1995 年 3 巻 2 号 p. 29-45
これまでに、筆者等は意思決定支援システム(decision support systems:DSS)の1実現形であるactDSSを開発し、いろいろな問題に適用することでDSSの研究を進めてきた。一般に、DSSは意思決定の合理的側面の処理を支援するものであり、そのためには、モデルの使用を必要とする。モデル管理システム(model management systems:MMS)が、DSSの持つべき基本的機能の一つである。DSSのモデルは次のような要請を持っている。
コンピューターの“素人"が容易にモデルを構築、操作、修正できる。モデル内で用いる演算は四則演算を中心としており、比較的単純であるが、静的モデルと動的モデルが混在している。定性的関係の表現が許容され、同時に非数値的言明も扱える。これら以外にも要請は考えられるであろうが、筆者等が行ってきた特定DSSの構築の経験から帰納された要請である。
本論文では、筆者等が過去に論じたMDLの使用経験をもとにして、再設計したモデル記述言語(model description language:MDL)について論ずる。結果として、本論文で述べるMDLは上記の要請を満たすものとなった。