2024 年 33 巻 1 号 p. 1-14
本稿の目的は,「関係リーダーシップ」発生メカニズムの解明に向けて,「関係リーダーシップ」が発生しない関係プロセスの具体的容態を明らかにすることにある.SI企業Z支社で13ヶ月間のエスノグラフィーを行った結果,Z支社では各々が一方的に他者の不満を語り,問題を他人事として捉えて他者に無関心となる人間関係である「モノローグの関係」が構築され,そのなかで組織の命令に従い個人的な成果を最優先することは正しいという組織レベルの価値体系である「成果主義による狭窄」が生起していることが明らかとなった.「モノローグの関係」と「成果主義による狭窄」は相互構築関係にあり,日常的な実践を続ければ続けるほど両者は各々反復されその状態から抜け出せない関係が構築されていた.この結果を踏まえ,本稿では,この反復状態のなかで「関係リーダーシップ」が発生しにくい関係プロセスが維持されていたと指摘した.