2024 年 33 巻 2 号 p. 61-77
コロナ禍により企業でのリモートワークの活用が増えている.それに伴い,企業でのクラウドの利用も増加していると共に,職場で承認されていないシャドークラウドの利用も増加している.そのため本稿では,職場で承認されていないシャドークラウドの利用を行う従業員の動機を合理的行動論(TRA; Theory of Reasoned Action)に基づいて明らかにした.部分最小二乗構造方程式モデリング(PLS-SEM; Partial Least Squares Structural Equation Modeling)による分析から,従業員が社会的規範である職場関係性のなかで職務遂行上の有益性を認識し,セキュリティリスクは認識していないことが,シャドークラウドの利用行動につながることを明らかにした.一方,IT部門の信頼があることは,シャドークラウド利用の阻害要因になることを明らかにした.