産業データの共有に向けて各国で議論が進んでいるが,データ共有は経営上の不安を伴うため,慎重な判断が必要である.そこで本研究は,互恵的利他主義の視点で産業データ共有の促進に向けた効果的な要件を明らかにすることを目的に,オープンソースソフトウェア(OSS),オープンサイエンス,および産業データ共有の取組に関する比較文献レビューを行った.その結果,産業データ共有の取組において,OSSやオープンサイエンスの促進要件である①非金銭的便益,②個人特有の心理的要素,③継続性を確立する要素が論じられていないことが明らかとなった.そして,これらの要件を産業データ共有の取組に導入するために,データから生成した訓練済モデルをOSS化,または各参加者が共有したデータを組み合わせる創造型データ共有戦略,クローズ領域を確保した上でデータを共有する分業型データ共有戦略,および非金銭的便益を求める公益型データ共有戦略を提言した.