2026 年 35 巻 2 号 p. 87-113
改善活動を継続することは実務上重視されているが,その実現は容易ではない.一方で,研究面では,改善活動を継続させるためのマネジメントに対する体系的な示唆が十分に得られるとは言い難い.本研究は,ある時期に行われた改善活動の内容がその後の改善活動に与える影響に着目し,近年理論化が進むルーティン・ダイナミクス理論の視点を用いて,10年を超えて改善活動を継続している2ラインの事例分析を行った.具体的には,各ラインの改善活動における出来事や行為を,ヒトやモノとの関連や時系列を明確にして整理し,それら出来事・行為間の関係を記述するナラティブ記述を行った.そしてナラティブ記述によって,それぞれのラインにおいてルーティン性が獲得された項目とその経緯を特定し,それら項目間の相互影響からルーティン性が保持されるプロセスの存在を明らかにしている.