1995 年 4 巻 2 号 p. 5-19
情報技術の発達に伴い,知識型/情報型組織を運営するための新しい組織原理が必要であるというDruckerの主張にもかかわらず,交響楽団・大学・病院に代表される知識型/情報型組織の実証研究は必ずしも多くない。本論文では,情報基盤の基礎となるべき知識型/情報型組織に関する理論と事例のレポジトリーの充実を目的として,主として複数交響楽団関係者との面接聞き取りにより,交響楽団組織の調査を行なった。得られた知見によると,交響楽団は階層型とフラット型構造を重層的に持ち,日本の伝統的組織モデルと交響楽団との差異は,「階層型対フラット型組織構造」等の単純なレベルではなく,むしろより細かい組織運営法に見られた。また,知識型/情報型組織に関する一般的な思弁的議論とも,幾つかの差異が見られた。結語に,知識型/情報型組織研究の問題点と今後の研究プログラムを述べている。