1995 年 4 巻 2 号 p. 21-36
本稿では,我々は今日の急速な情報ネットワーク技術の大衆化という状況を踏まえて,我々の生活世界の構造変化に注目しながら,それがもたらす産業構造の変化と産業基盤としての情報インフラストラクチャについて考える。情報ハイウェーのような新情報インフラストラクチャの議論は,しばしばNII(National Information Infrastructure)やGII(Global Information Infrastructure)といった基幹ネットワークワークとそこでの大規模サービス(サーバ)という観点から論じられる。しかし新情報インフラストラクチャは情報的な商品のみならず,既存の様々な商品の生産,販売に関する産業構造あるいはそこでのクライアント・サーバ関係に大きな変化をもたらすことは確実である。我々はこの問題をローカルなサーバを中心とした産業構造の変化とそこでの広い意味でのクライアント・サーバ関係として捉え分析する。また情報インフラストラクチャや産業インフラストラクチャという概念そのものをこの観点から再検討する。