経営情報学会誌
Online ISSN : 2435-2209
Print ISSN : 0918-7324
研究ノート
ソフトウェア・ビジネスにおける企業間パワーバランス決定の要因
椎木 武松島 桂樹
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1996 年 5 巻 2 号 p. 71-78

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抄録

マイクロソフト社をはじめとするソフトウェアをビジネスの中心に据える企業がITビジネス全体への大きな影響力を獲得してきている。開発元、売り手、買い手などソフトウェア商品のサプライチェーンに参加する企業は、基本的な機能を駆使して企業間のパワーバランスの獲得を模索する。このパワーバランスは、コアバリュー、レバレッジ要素、パワードライバーの三要素で決定づけられる。参加する企業の持つユニークなコアバリューとその間のパワーバランスによって業界の新しい価値システムが形成されつつある。企業独自のコアバリューを最も重要なパワードライバーとして機能させることができる企業間の協調が、価値システムを顧客にとって価値あるものにするであろう。顧客は、製品自体の価値だけではなく、顧客に製品の価値を提供するサプライチェーン全体の価値を評価する。サプライチェーンの価値は、単に自社にない機能を他社に補ってもらう、という消極的なもたれあいによる協調から形成されるのではなく、協調に参加する企業間の価値連鎖における主導権を獲得するためにの切磋琢磨の過程から創造される。

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© 1996 一般社団法人 経営情報学会
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