本稿は「知識ネットワークとパワー・イノベーション」論の基礎として、従来のパワー概念と理論がどのような特徴と限界を持っていたかを学説史的に考察し、パワーとイノベーションの理論的に可能な新しい関係について考察することを目指す。この目的のために、最初にM・ウェーバーに由来する伝統的なパワー概念と理論の特質と問題点を明らかにする。次いで、パワーの伝統理論に対決の姿勢を鮮明にしているT・パーソンズのパワー理論とそれを革新的に展開したN・ルーマンのパワー理論の特質をを検討する。以上の考察を踏まえて、自己組織化やネットワークといった組織論の新しいパラダイムと適合的な新しいパワー概念と理論的分析枠組みの必要性を提案するとともに、本稿の課題であるイノベーションとパワーの一般的な関係について論じる。