造船協會會報
Online ISSN : 1884-2054
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波形鋼板の強度に就いて
伏見 栄喜
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1954 年 1954 巻 76 号 p. 119-136

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抄録

船体の外板や隔壁板には横及び縦に桁を取付けて補強しだ平面板を用いるが, 之が普通の平板構造である。此の構造にあつては防撓材相互並びに末端の固著に多数の部材を要し,,従つて重量, 工数も極めて大となる。然るに此の平板構造の代りに波形板を用いると波に沿つた方向に防撓性が出来, 従つて同方向の防撓材を省き得るの明で従来の平板構造に比して著しく部材数重量, 工数等を減ずると思われる。斯の様な理由で筆者は波形板を船体に応用する時の設計上の資料を得る目的で波形鋼板の強度実験を行つた.即ち実際構造の1/10程度の895×900×290粍の水槽を製作して其の前面を工作上適当と思われる形状の波形板とし, 実際の船程度の圧力1瓩/糎2まで加圧して諸点の撓み及び撓角を測定し波形鋼板の強度を見出さんとした。本論文は此の実験の装置, 計測方法を紹介し, 竪桁防撓材の撓み, 波に沿つた方向及び之と直角方向の各点について近似的計算値を以つて実測値と比較した。其の結果, 上記の実験圧力即ち挫屈荷重以下では波形板一心巨〓断面のI/yを有する波方向の梁として取扱つて大差なき事が明らかとなつた。従つて平板構造に於ける防撓材一心巨のI/yと波形板断面の一心巨のI/yを等値ならしむる様に設計すれば, 工作上適当と見做される形状の波形板を用いた構造は平板構造に比して重量約3割の軽減をなし得る事となる。

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