日本外傷学会雑誌
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症例報告
腹部刺創による十二指腸損傷に対しDamage control surgery後膵頭十二指腸切除術を施行した1例
村田 宇謙河内 順澤村 直輝久米 菜央西田 智喜三宅 克典磯貝 尚子深井 隆太下山 ライ柏木 宏之篠崎 伸明
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2020 年 34 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

 腹部刺創に対してDamage control surgery (DCS) 後に膵頭十二指腸切除術 (PD) を行い救命した1例を経験したので報告する. 症例は44歳男性, 自身で腹部を刃渡り20cmの包丁で刺したまま救急搬送となった. 来院時Glasgow Coma Scale (GCS) 12, E3V4M5, 血圧60/40mmHg, 脈拍143回/分とショック状態で緊急手術となった. 包丁は胃, 横行結腸間膜, 十二指腸を貫通し, 右腎門部に達し, 拍動性の出血をきたしていた. また回腸末端にも損傷を認めた. ショックバイタルでありDCSの方針として右腎摘出, 腸管の仮閉鎖, ガーゼパッキング, 仮閉腹とした. 翌日再開腹し, 複雑性十二指腸損傷のため, PDを施行し術後40日目で自宅退院となった.

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© 2020 一般社団法人 日本外傷学会
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