体幹部銃創は早期外科的止血の出来る医療機関への搬送が必要である. 初期診療の鍵は「スピード感」である. “The golden 10 minutes” の言葉のごとく, 来院から10分で手術室へ入室できなければ死亡リスクは増大する. 切迫心停止が迫るものは蘇生的開胸術により心停止を回避する. 循環動態が安定でないものは手術適応である. 胸腹部移行帯では両方の損傷を考えるべきである. 上縦隔, 鎖骨下動脈損傷の止血は視野の確保が重要であり, 術野確保が困難な場合はルート変更を躊躇すべきでない. 銃創は直線上に損傷が発生するとは限らない. 症例によってはバルーンタンポナーデが効果的である. 大血管系の損傷はproximal controlの原則に則り損傷のない中枢側のコントロールを目指すべきである. 体幹部銃創の外科治療成否の鍵は, 「スピード」であり, 院内外傷システム体制を整備し早期止血を達成すべきである.