日本外傷学会雑誌
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骨棘による胸部大動脈圧迫状態に対し予防的REBOAカテーテル留置・TEVARスタンバイで脊椎後方固定術を施行した胸椎脱臼骨折 (AO分類Type C) の1例
安達 普至門馬 秀介倉田 秀明崔 権一萬木 真理子井上 泰豪冨岡 譲二
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論文ID: 35.3_02

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抄録

 症例は60代, 男性. トラックの荷台から転落し受傷した. 両下肢は完全麻痺で, 来院時の全身CTで第11-12胸椎脱臼骨折を認め, 第12胸椎の骨棘が下行大動脈を圧迫していた. 手術のための体位変換・術中操作にて2次的な大動脈損傷を併発する危険性があったため, 術前にResuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA) カテーテルを留置し, 腹臥位で脱臼整復・後方固定術を行った. 手術中循環動態は安定して, 大動脈損傷は生じなかった. 2次的な大動脈損傷の可能性がある胸椎脱臼骨折の腹臥位手術では大動脈損傷が起これば致死的になりうるので, Thoracic endovascular aortic repair (TEVAR) をスタンバイしたうえで適切な位置にREBOAカテーテルを予防的に留置して手術を行うことが選択肢の一つになるかもしれない.

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