生物教育
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研究資料
ホルモンの即効作用の教材化の可能性:ニワトリの産卵
高橋 哲也村田 公一中山 広之
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2009 年 50 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

ニワトリにおいて脳下垂体後葉ホルモンの1つであるバソトシンが,卵管子宮部を収縮させて産卵(放卵)を引き起こす作用の教材化を試みた.バソトシンは0.1M酢酸で溶解し,ニワトリの翼下静脈内へ投与(注射)した.その結果,1羽あたり0.5μgまたは1.0μgの投与量で投与すると即効的に放卵を観察できることが確認できた.またバソトシンを-20℃下と-80℃下でそれぞれ凍結保存したところ,いずれの温度下で凍結保存しても放卵誘起効果は変わらなかった.したがって,市販の家庭用冷蔵庫の冷凍室でも,本実験のためのバソトシンは凍結保存が可能であることが明らかとなった.さらにバソトシンを皮下および筋肉内へ投与したが放卵は誘起されず,バソトシンは血管を介して標的器官に運ばれることを観察実験として示すことができた.

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© 2009 一般社団法人 日本生物教育学会
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