生物教育
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研究論文
アミラーゼおよびプロテアーゼ活性の半定量的簡易検出法の開発と応用
森本 弘一尾山 廣杉村 順夫
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2014 年 54 巻 2 号 p. 60-67

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抄録

高校生物のカリキュラムでは,酵素の働きや生物学的な役割について取り扱っている.しかし,基本的な酵素特性を調べる教材は乏しい.酵素をより良く理解させるためには,簡単,且つ,定量的に測定できる酵素検出法の開発が望まれる.可溶性デンプンやカゼインを含む寒天プレートを用いることにより,アミラーゼおよびプロテアーゼ活性を検出することができた.アミラーゼ活性を調べるために,Aspergillus oryzaeからの酵素標品,発芽中のイネ・ハツカダイコン種子,胃腸薬,ヒト唾液を用いた.プロテアーゼについては, A. melleusからの酵素標品,衣料用洗剤,パイナップル・キウイフルーツの果肉,キノコ子実体を用いた.酵素反応後,寒天プレートをヨード液に浸漬することにより,アミラーゼ活性を検出した.一方,プロテアーゼ活性の検出には,寒天プレートを混合有機溶剤(メタノール:酢酸:水=40:10:50)に浸漬した.その結果,両酵素ともそれらの活性を半定量的に可視化することができた.簡単な実験操作であり,実験経費も限られており,特別な機器類も要しないことから,この酵素検出法は教育現場で使用できる有効な方法であると帰結した.

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© 2014 一般社団法人 日本生物教育学会
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