生物教育
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研究報告
メダカが水中の小さな生き物を食べていることを実感させる映像教材の開発
山野井 貴浩根本 知美古屋 康則
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2016 年 58 巻 1 号 p. 2-9

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抄録

小学校第5学年の理科では,メダカは水中の小さな生き物を食べていることを学習する.しかしながら,多くの教科書には,池などの水の懸濁物中の小さな生き物を本当に食べているかどうかを確認する観察実験は掲載されておらず,教科書に基づく授業では「魚は水中の小さな生物を食べ物にして生きていること」を児童は実感できない可能性がある.そこで我々はメダカ用ストマックポンプ法(古屋ら 2012)に注目した.ストマックポンプ法はメダカを殺さずに消化管内容物を観察できる優れた方法であるが,実験操作が繊細であり児童が行うには困難であると考えられる.そのため,ストマックポンプ法を用いた実験の様子を撮影した映像教材を開発した.開発した映像教材を利用した授業を,小学校第5学年の児童47名を対象に実施した.授業ワークシートへの記述および授業後に行ったアンケートへの回答を分析したところ,この映像教材を利用した授業は「魚は水中の小さな生物を食べ物にして生きていること」を実感させるのに有効であることが示唆された.

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© 2016 一般社団法人 日本生物教育学会
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