生物教育
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研究資料
インドフェノール法の作業効率化と授業における魚類から排出されたアンモニアの定量
―マイクロプレートリーダーの教育実験機器としての可能性―
西川 洋史
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2020 年 61 巻 2 号 p. 89-95

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抄録

学校における生物実験において生徒がグラフ作成や統計解析を行うには,授業内に大量の数値データを取得する必要がある.マイクロプレートリーダーは,創薬や生理学などの研究において使用される吸光光度計の一種であり,発色した溶液の吸光度を一括測定することができる汎用性の高い機器である.一般的に96 wellマイクロプレートを用い,液量は1 wellあたり100~200 μLと少量で済む.生理学や生態学に即した教育実験系としてはアンモニア濃度を比色法で求める方法がすでに確立されているが,カラーチャートに照らし合わせて濃度を判断するため精度は低く,数値解析を行うことは難しい.そこで本研究では,インドフェノール法によるアンモニア測定をマイクロプレートリーダーで行えるよう,水酸化ナトリウム及び次亜塩素酸の有効塩素濃度の最適化を図った.特に生徒が扱いやすいように混合時の液量は200 μLで統一した.その結果,反応時の最終濃度が水酸化ナトリウム125 mMかつ有効塩素濃度0.0065%のとき,波長650 nmにおける吸光度がピークに達することが分かった.この結果を踏まえ生徒実験を行ったところ,ほぼ全員の生徒がキンギョを収容した水に1~3 ppmのアンモニアが含まれていることを,自分の検量線から求めることができた.マイクロプレートリーダーは96試料の吸光度をおよそ1分で測定することができるため,数値を活用した探究的な生物実験を実現するために有効な機器となるだろう.

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© 2020 一般社団法人 日本生物教育学会
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