2024 年 66 巻 1 号 p. 24-33
国語科の教科書には自然への愛や生命尊重を内容とする教材が含まれており,国語科の教科書を起点として生活科の学びへと発展させることができると考えられる.しかし,そのような試みはあまり見受けられない.国語科教科書の可能性が十分に活用されているとは言いにくい状況にあり,国語教科書の内容を教科横断的に活用した実践が求められていると考える.そこで筆者は国語教科書を起点として生活科へと展開していく教科横断的な実践を試みた.
国語科においては教科書の内容や文の構造の読み取りを行い,生活科においては,筆者が作成した絵本とそれを補足するスライド,ホタルの生息する環境の観察(昼間),ホタル観察(夜間)を行い,ホタルの生活環,ホタルが生きていくために必要な環境条件,ホタルは食物連鎖の中で生きており,ホタルの捕食者も種としてのホタルの生存に不可欠であることを扱った.
認知面についての自己評価,生活環の理解は良好であった.しかしホタルの捕食者も種としてのホタルの生存に不可欠であることへの理解については7割程度の正答にとどまった.情意面についても,一定の効果が見られた.
自己有能感についてはある程度の自己有能感を獲得することができた.