バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
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ストレス課題に対する心臓血管反応にハーディネスが及ぼす影響
多田 志麻子稲森 義雄濱野 惠一
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2002 年 28 巻 p. 54-60

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抄録

本研究では,高ストレス下で健康を保っている人が持つ性格特性であるハーディネスに着目し,実験的ストレス課題に対する心臓血管反応にハーディネスが及ぼす影響について検討した.被験者は女子大学生22名であった.暗算と寒冷昇圧の2種類のストレス課題を提示し,心拍 (HR),収縮期血圧 (SBP),拡張期血圧 (DBP),平均血圧 (MBP) を測定した.また,ハーディネス尺度と人格特性 (NEO-FFI) の調査を実施した.ハーディネス尺度の中央値により低群(10名),高群(12名)に分割したところ,両群間でNEO-FFIの開放性,誠実性,神経症傾向に差がみられた.さらに,SBP,DBP,MBPは安静時より課題時に有意な上昇を示した.HRは暗算では課題時に有意な増加を示し,寒冷昇圧では課題時に有意な減少を示した.暗算では,DBP,HRにハーディネスの効果が示され,ハーディネス高群でのみ安静時より課題時に上昇がみられた.これらの結果から,ハーディネスの積極的な認知様式が暗算に代表される能動的対処の可能なストレス刺激に対して適応的に反応していることが示唆された.

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© 2002 日本バイオフィードバック学会
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