バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
症例報告
  • 髙橋 佑弥, 及川 欧
    2024 年 51 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/25
    ジャーナル フリー

     著者らは,5秒間の手指集団屈曲を伴う手関節背屈運動後,脱力による5秒間の弛緩を持続させる1サイクルを5分間実施するRSMT変法について実践報告し,幅広い症例に対応できる可能性を示唆してきた.今回,ベーチェット病により鎖骨下動脈と腋窩動脈の閉塞を来たし,左上肢の挙上が困難(肩関節屈曲60度)となった症例に対して実践した結果,上肢機能の改善が得られた経過について考察を加えて報告する.

     【対象と方法】左上肢の倦怠感を主訴に当院血管外科へ通院していたが改善得られず,2021年11月にリハビリテーション科を紹介受診した.作業療法が処方され,週1回対応していたが痛みの寛解と再燃を繰り返した.2022年4月よりRSMT変法を実践し,自主トレーニングとして行えるように指導した.チェック・マイハートTMを使用して心拍変動を測定(RSMT変法実施前2回,実施後1回)している.

     【結果と考察】RSMT変法を開始時,自律神経系活動全体の指標であるTotal Powerは著明な低値を示した.交感神経と副交感神経の全体のバランスを表しているLF/HFは交感神経優位の状態を示した.結果,RSMT変法を指導してから現在までにおいて,毎日1日2回自主トレーニングを継続できていたことを確認した.Total Powerは痛みが軽減した時期(2022年6月)から賦活する傾向を示し,LF/HFは同時期から平均の値となった.また,RSMT変法を実践から1ヶ月後,2022年5月より左肩関節の可動域改善が得られ(肩関節屈曲110度),同年6月には痛みが寛解し,現在も機能維持できている(肩関節屈曲135度).当初より目標としていた除雪作業について,今冬に再開できたことを本人から聴取でき,RSMT変法の更なる可能性について示唆された.

資料
  • 呂 隆徳, 髙橋 佑弥, 及川 欧
    2024 年 51 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/25
    ジャーナル フリー

     COVID-19患者のリハビリテーションを実施するセラピストは,未知のウイルスに対する恐怖によって,ストレス,不安,抑うつ症状などのメンタルヘルスに問題が生じる可能性があり,経時的かつ体系的にメンタルヘルスの変化を捉えられるように評価ツールを用いて定量評価を行うことは有用である.

    【対象と方法】対象は,COVID-19患者に専従でリハビリテーションを実施した理学療法士20代男性.COVID-19専従前・専従後に「チェック・マイハートTM」による心拍変動の解析,Profile of Mood States 2nd Edition(POMS2),職業性ストレス簡易調査票を実施し,メンタルヘルスへの影響を分析した.

    【結果と考察】職業性ストレス簡易調査票の『不安』は専従前の段階4「やや高い」から専従後の段階5「高い」へ増加し,POMS2の『活気−活力』は専従前の62(高い)から専従後の43(平均的)へ低下した.また呼吸数は専従前の6回/分から専従後の10回/分へ増加した.専従後,low frequency(LF)成分は低下,VLF(very low frequency)およびTotal Powerは高い数値を示した.要因として,活気−活力に大きな影響を与えるほどの高いストレス負荷がVLFを中心とした心拍変動成分を亢進させたと推察された.

BF講座
研究室紹介
feedback
Top