2022 年 49 巻 2 号 p. 93-99
入眠促進の目的で自然音の音量を制御する入眠制御バイオフィードバック装置が知られている.もともと寝つきのよい者の入眠を阻害しないが,寝つきの悪い者にはそれを改善する一助となることが報告されている.また身体に振動を与える振動マッサージは,血行の促進と改善が期待できるほか,音響を付加した体感音響装置はリラクセーション機器として入眠効果もあり,受動的音楽療法として幅広く利用されている.今回,体感音響を用いた入眠制御バイオフィードバック装置を開発した.枕の下に薄型の振動子と体動センサを配置し,高音質の振動と音響信号を再生する.生体センサにより入眠状態を検知し,覚醒水準の低下に合わせて音と振動の強度を小さくする制御を行い,入眠潜時の短縮を目指す.制御なしの場合と比較した結果,フィードバック制御による音量,振動の減衰は参加者にとって快適と評価され,入眠潜時を短縮する可能性が示唆された.また本装置は音量が小さくなっていくときに,筋弛緩状態を学習する可能性があり,バイオフィードバック療法として活用できることも示唆された.バイオフィードバック技術は,身体状態も感情も,テクノロジーで検出し,人間が制御し学習できるものである.このデバイスを使用することにより,人々が快適で早く眠りに就ける能力を向上させることができるかもしれない.