抄録
本研究は、在宅障害後期高齢者女性58名(平均年齢83.3歳)を対象に、家庭での役割の有無とQuality of Life(QOL)を評価し、その関連性について検討した。家庭内役割有り群35名と無し群23名の比較において、Barthel Index(BI)得点、老研式活動能力指標、主観的健康感の3項目に有意差が認められ、いずれも家庭内役割有り群が無し群より有意に高かった。一方、生活満足度と生きがい感については有意差は認められなかった。また、家庭内役割の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析の結果、老研式活動能力指標と主観的健康感のオッズ比に有意差を認めた。すなわち、在宅障害後期高齢者の家庭内役割と関連するQOLの因子として、生活行動とくに老研式活動能力指標の高さと主観的健康感の自覚が明らかとなった。これらの知見は、後期高齢者が身体障害を有したとしても、可能な限り家庭内役割を持つことの重要性を示し、障害高齢者本人のみならず家族を含めた生活指導の必要性が示唆された。