行動医学研究
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冒頭言
原著
  • 足達 淑子, 堀内 聡
    原稿種別: 原著
    2019 年 24 巻 2 号 p. 62-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル フリー
    研究目的は、非対面プログラムを用いた先行研究の対象者のうち睡眠不良者の睡眠改善に対する1年後の長期効果 を検討することであった。介入は全職員対象の保健事業として行った通信の集団的アプローチで、所属部署により小冊子配布のみ の読書療法群(BTG)と目標行動設定とセルフモニタリングを加えたセルフ群(SCG)の2群に分けて募集した。睡眠不良者は入 眠潜時30分以上あるいは睡眠効率85%未満とした。分析対象者は1年後に質問票の追跡調査に応じた84名(BTG29名、 SCG55名)であった。評価指標は睡眠問題(入眠困難、維持困難、早朝覚醒、熟眠困難)の有無、睡眠指標(睡眠時間、入 眠潜時、睡眠効率、中途覚醒回数、中途覚醒時間)、睡眠不足関連症状、睡眠関連習慣であった。解析の結果、睡眠問題は SCGのみで入眠困難と熟眠困難が有意に減少した。睡眠指標は全体で入眠潜時の減少と睡眠効率の増加が認められた。日誌に よる再分析で夜間覚醒に交互作用があり、SCGの夜間覚醒時間の減少がBTGより有意に大きかった。1年後に睡眠関連症状数は 両群とも減少し、その他の症状数はSCGのみで減少した。改善した生活習慣の項目数はSCGがBTGよりも多かった。SCGのみ で入眠困難と熟眠困難の保有者が有意に減少し、日誌記録からは夜間覚醒時間の短縮が認められたことから、この差を目標行動 設定とセルフモニタリングの長期効果と考えた。多数を同時に安価に教育できる本方法で、睡眠不良者の長期の睡眠改善効果が得 られる可能性が示された。
  • 高橋 まどか, 前田 わかな, 嶋 大樹, 井上 和哉, 齋藤 順一, 熊野 宏昭
    原稿種別: 原著
    2019 年 24 巻 2 号 p. 73-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル フリー
    Acceptance and Commitment Therapy(ACT)の支援では、変化のアジェンダを手放し、体験の回避への動 機づけを低減することが重要である。変化のアジェンダを手放すための取り組みとして、Creative Hopelessness(CH)がある。 現在、CHはACTの介入手続きの中で最も理解が進んでおらず、CH成立の際に生じうる行動的プロセスの定義が曖昧である。そこ で研究1では、定義が曖昧なCHの要素を整理する。そして、その成立プロセスを明確にすることでCH の理解を進めることを目的 とした。研究2では従来から臨床場面で行われているCHの介入を実験的に行う。その際、妥当性の得られているACT関連尺度を 用いることで、研究1で作成したCH成立プロセスの妥当性を評価することを目的とした。研究1では、ACT関連書籍から、CHに関 連する記述を収集しKJ法で分類した。収集した記述について、内容の類似性から整理したところ、5つの要素に分類された。その 要素は、目的と、それらの目的を達成するための手続きから構成された。それらの要素の時系列を検討した結果、「①コントロール 方略( 私的出来事をコントロールすること) を振り返る」「②変化のアジェンダに向き合う」「③コントロール方略が不機能であること を体験する」「④コントロール方略が不機能であることを認識する」「⑤代替行動にオープンになる」という5段階のCHの成立プロ セスが想定された。①②④は変化のアジェンダの不機能性を言語的に理解するための手続きである。それらの手続きを通して達成 される③⑤は同ルールの不機能性と代替行動の選択を実際の行動面から体験的に理解する。研究2では、ACTに関する知識を持 たない大学生24名を対象とし、実験群と統制群に無作為に割り当てた。参加者には、2回の来室と1週間のホーム・ワーク(HW) を求めた。実験群は、1回目来室にて、CH成立プロセス①②に焦点を当てて心理教育を行い、2回目来室にて、CH成立プロセス ③〜⑤に焦点を当てて心理教育を行った。さらに1回目来室と2回目来室の間の1週間、CH成立プロセス③を促進するHWを求め た。統制群は、1回目来室にて、自己理解の重要性についての心理教育を行い、2回目来室にて、不快な思考や感情が現れた際に、 問題や原因だけではなく解決方法を考える重要性について心理教育を行った。各介入段階とACT関連尺度( CAQ・AAQ−II・マインドフルネスルール指標・APQ) の変化を検討するため、ACT関連尺度の得点を従属変数として、群( 実験群・統制群)×時期 (①pre・①post・②pre・②post) の2要因混合計画の分散分析を行った。変化のアジェンダの程度を測定するCAQ−bの①preと ①postの間および、②preと②postの間で減少傾向がみられ、CH成立プロセス①②④の成立の可能性が示唆された。望まない私 的出来事に対して開かれた姿勢を取ることで自身の価値が示す方向に進むことができるというルールを表すマインドフルネスルール 指標下位尺度「私的出来事を受け入れる選択」得点の②preと②postの間で増加傾向がみられ、CH成立プロセス⑤の成立の可能 性が示唆された。さらに、自身にとって必要な行動を選択する余裕をつくり出す中長期的結果を表すAPQ下位尺度「行動レパート リーの拡大」得点の①preと②postの間で増加傾向がみられ、CH成立プロセス③⑤の成立の可能性が示唆された。ACT関連尺 度の変化から、CH成立プロセス①〜⑤の成立の可能性が示された。本研究では、有意差は認められなかったが、探索的な検討に て、一部のACT関連尺度に有意傾向が示された。今後はフォローアップ期を設け、研究デザインを再考した上で、行動指標と合わ せて検討を行う必要がある。
  • 三原 健吾, 岡村 尚昌, 矢島 潤平, 津田 彰
    原稿種別: 原著
    2019 年 24 巻 2 号 p. 84-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル フリー
    本研究は、2タイプのwell-being(hedonic、eudaimonic)と心身の健康との分化的関連性を明らかにするため に、質問紙による主観的健康感の評定と唾液中精神神経内分泌免疫学的(PNEI)反応による客観的評価から、well-beingのタ イプによって心身のストレスの自覚とノルアドレナリン神経系、内分泌系、免疫系の活性がどのように異なるのか検討した。研究参 加の同意が得られた健康な大学生109名(男性49名、女性60名)を対象とした。講義時に、eudaimonic well-being[心理的 well-being尺度(PWBS)によって評価]、hedonic well-being(日本語版 Positive and Negative Affect Scheduleと人生に 対する満足感尺度によって評価)、主観的健康感(GHQ−28)、健康行動(飲酒、喫煙、運動)からなる質問紙セットへの記入を 求めるとともに、PNEI反応[free 3−methoxy−4−hydroxyphenylglycol(MHPG)含有量、分泌型免疫グロブリンA(s−IgA) 抗体産生量、コルチゾール分泌量]を測定するために唾液の採取を行った。重回帰分析の結果から、心身のストレス反応及び Quality Of Lifeの重要な影響要因と目されているネガティブ感情、性別、BMI、健康行動とは独立して、PWBS得点が高い個人ほ ど唾液中のfree−MHPG含有量、コルチゾール分泌量、GHQ−28総得点が低値であることが示された。一方で、hedonic wellbeing とPNEI反応との関連は認められなかった。これらの結果から、hedonic well-beingと比較しeudaimonic well-beingの方 がより直接的にノルアドレナリン神経系、内分泌系を介して心身の健康に関わっていることが示唆された。
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国際学会報告
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