行動医学研究
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原著
痛みに対する不安症状尺度(PASS)-20日本語版の作成と妥当性の検討
松岡 紘史坂野 雄二
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2009 年 14 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

本研究の目的は、痛みに対する恐怖の程度を測定する尺度である痛みに対する不安症状尺度(Pain Anxiety Symptoms Scale:PASS)-20を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。449名の大学生が、痛みの重篤さ、日本語版簡易疼痛調査用紙の生活障害の下位尺度、状態・特性不安検査(STAI)、自己評価式抑うつ性尺度(SDS)、不安感受性尺度(ASI)、および痛みに対する恐怖の強さを測定する項目に回答した。確認的因子分析の結果、PASS-20日本語版には、過去の研究で報告された4因子構造があてはまることが明らかにされ、尺度全体、「回避・逃避」を除いた下位尺度において高い信頼性が示された。PASS-20は、痛みの重篤さや生活障害の程度と正の相関関係にあり、抑うつや特性不安の効果を統制した場合でもこの関係は維持されたことから、PASS-20の併存的妥当性および増分妥当性が確認された。また、PASS-20は実際の痛み場面で感じた恐怖の強さを弁別することができ、臨床的妥当性を有する尺度であることがわかった。さらに、PASS-20はSTAIよりもASIとの相関係数が大きく、弁別的妥当性が確かめられた。以上の結果から、PASS-20は、高い信頼性と妥当性を有する尺度であることが明らかにされた。

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© 2009 日本行動医学会
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